【消えゆくモダニズム建築タイムトンネルプロジェクト】

このプロジェクトは、1966年(昭和41年)に建築確認申請が出された「あめりか屋」初の鉄筋コンクリート建築を再生(リボーン)させ、「SOHO×マンション」として再生する取り組みです。

 私たちは建物を、過去と現在、そして未来をつなぐ「タイムトンネル」だと捉えています。おそらく当時、ドイツのバウハウスの影響を受けて設計されたこのモダニズム建築を、オリジナルの意匠を損なうことなく、新たな魅力を吹き込み再生します。

この再生の一番のポイントは、「自分自身が住みたいと思える建物」にすることです。自分が住みたいと思えない建物は、誰も借りてくれません。だからこそ、所有者として理想を追求し、「本当に魅力的な建物」としてよみがえらせたいと思っています。

京都では一般的に、古建築やいわゆる「近代のモダン建築」が注目され、鉄筋コンクリートのモダニズム建築はまだまだ重要視されていないのが現状です。しかし、自分が所有する物件だからこそ、自由に実験的な取り組みを行うことができます。そのため、昨年度末からこの建物を再生する挑戦的なプロジェクトをスタートしました。

このプロジェクトでは、専門家やプロの職人、さらに参加を希望する学生さんたちがチームとなり、建物に新たな命を吹き込んでいます。建物が少しずつ美しく再生され、輝きを取り戻していく過程を皆さんと共有したいと思っています。

建物を再生する中で、多くの課題が毎日のように現れます。それを一つひとつ解決しながら、建物と対話し、磨き上げていく作業は大変なことですが、同時に所有者だからこそ味わえる喜びでもあります。また、このプロジェクトを通じて得られる知見を活かし、将来的には他の方が所有する建物の再生にも貢献していければと思っています。